4x5の言わずに

銀塩・鉄塩写真備忘録 & 楽器とか@最近はウクレレとギター

稽古は本場所の如く本場所は稽古の如く…なんちゃって


” 練習用には悪くない "

と、書かれた、安価な弦へのコメントを見かけることがあるけど、自分以外の誰かのために演奏することを本番と云うことならば、自分の場合、練習と本番の棲み分けが無いから、練習=本番。

どーせ、音の良し悪しも判らないのだから、安価で、そこそこ評判の良い弦を…と思っていたけど、ここ最近は、スケールでもエチュードでも、鳴らすのが愉しくなるような音色の弦が欲しくなっています。

安価な量販品ギターで、尚且つピッキングの悪さをもリカバリーしてくれるような…そんな都合の良い弦です。



材料のほとんどが自然材と言っても、我が家のギターは、大手メーカーの合板量販品ですから、鳴りの傾向があると思ったので、ググってみました。

丁寧に音源をアップしている方もいらっしゃるのですが、同じ楽器に同じ弦であっても、奏者の腕前や選曲による違いもあって、入門者には判断が難しく、結局、音は「良し悪し」ではなく「好き嫌い」で評価が分かれる。と、云う、至極当然な結びになってしまい、鳴りの傾向のようなものは見えてきませんでした。

さて、チビヤマハ(CS40J)に貼ったマーチンM160 は、デカヤマハ(CG182SF)では感じなかった(気がつかなかった)けど、3弦が妙にボヤけると云うか、篭もると云うか…ヌケが悪く聴こえます

ギターの3弦は、プライムギターでも鳴りがボヤけることがあるらしいので、容積の小さいチビヤマハだと(個体差はあるにせよ)、それが顕著なのかもしれません。
手元の予備弦に、サヴァレスのアリアンス赤があったので、3弦を張り替えたところ、ヌケは良くなりました。


このチビヤマハは、倍音が多く(強い)、当初は、それが風呂場の音みたいで気持ち良かったのですが、早めのテンポで和音を鳴らすと、倍音が混じり合って、やや混沌としてきます。

3弦を変えたことで、幾分か、それが整理されたようには思えるけど、アルペジオで鳴らすと、3弦だけ直球勝負と云うか、なんとなくバランスが違って聴こえてしまうのは、俺の駄耳のせいか、ド下手なピッキングのせいか。。。なんにせよ、弾き手の問題が大きいのでしょうね。

次回は、改めて、前回と同じオーガスチン赤のセットに張り替えて、検証してみようかと思っています。

IMG_5207.jpg


デカヤマハに張った、高音インペリアル(ゴールド)+低音サバレス(コラム)青の組合せも、一週間ほど経って安定してきました。

セゴビアさんが愛用した高音インペリアルとか、村治佳織さんが愛用している組合せ…などの刷り込みが入っているわけですが、低音が鳴り過ぎることもなく、高音もクリアで、今まで張った弦の中では、かなりバランスが良いように感じています。

カルリさんのエチュード(ギタルラ青本の和音とアルペジオの練習)を練習していると、高音弦のタッチが弱めになっても、低音弦にかき消されるようなことがありませんし、音の強弱もつけやすく、早めのテンポでも、和音が混ざり合って、濁るような音にはならないので、全体的に鳴らし易い印象を受けました。

デカヤマハのスケールだと指はキツイけど、がんばって練習しよう。と、モチベーションを揚げてくれる音色です。

マーチンM160の方が300円ほど安価だけど、練習=本番の自分としては、この価格差だったら、高音インペリアル(ゴールド)+低音サバレス(コラム)青をメインに据えて、古くなったら、静音練習でしか使っていない、サイレントギターに、お下がりとして張る。と云うチープなローテーションもありかな。。。などと考えていますが、手元に、ハナバッハ黒+オーガスチン赤、サバレス・クリエーションカンティーガ510MR(1,2弦ニュークリスタル、3弦アリアンス、低音弦カンティーガ)もあるので、次回は、どちらかを試してみようかと思っています。



音の記憶は曖昧で上書きが早い 〜弦交換〜


IMG_5153.jpg


チビヤマハ(CS40J)の、低音弦の鳴りが悪くなったので、デカヤマハ(CG182SF)で割と気に入ったマーチンM160に張り替えました。

同時期に弦交換した、デカヤマハのマーチンM160は、もう少し使えそうなので、やっぱり格安弦はヘタるのが早いんだな…と思い込んでいたのですが、張り替えたところ、高音弦は金属っぽさが強いし、低音弦もサスは伸びたけど、ちと物足りない感じ…

チビヤマハには、マーチンよりも格安弦の方が、相性が良いのかな?

と、思いつつ、確認してみたら、前回は、昨年の11月中旬頃にオーガスチン赤(こちらも1セット810円なので高くはありません)を張っていました。
低音弦のサスがまるで伸びなくなったし、厚みも皆無のまま鳴らしていたので、いつの間にか格安弦を張っていると思い込んでいたようです。

鳴らしている時は、運指やリズムに夢中になっているので、特に意識していなかったけど、ある時期から、やっぱりショートスケールの音は細いな。と、感じたことがあるような気がしてきました。
それが、いつ頃のことだったのかは覚えていないので、今回は、もう少し、音色にも注意してみたいと思っています。それが可能ならば…ですけど。


弦交換から四日ほどですが、ぼちぼち安定してきました。
張り替えた直後の印象としては、オーガスチン赤の方が「好み」だったけど、耳が馴染んできたようで、最初に感じたような大きな違和感は薄らいでいます。

もっとも、音の記憶は曖昧な上に、上書き速度が早いし、長くても(多分)3ヶ月ほどの付き合いなので、次にオーガスチン赤を張っても、直後は、これじゃ無い感を抱くのかもしれません。

IMG_5180.jpg


チビヤマハは、押弦が楽チンなんだけど、長時間鳴らしていると、左腕が窮屈になってしまうため、デカヤマハを使うようにしていたのですが、やはりプライムギターのネックスケールだと押弦が辛かったので、今年に入ってからは、チビヤマハをメインに使っていました。

デカヤマハは、慣れてきたエチュードなどを、650mmスケールでも押弦出来るかを試すためにしか使っていなかったけど、低音弦も汚れているので、勢いもあって。こちらも弦交換をしました。

今回は、高音弦オーガスチンのインペリア(ゴールド)+低音弦サバレスのコラム青を張ってみました。

インペリア(ゴールド)は、アンドレス・セゴビアと云う、とても有名なギタリストが使っていた弦だそうで、この方は、俺が二十代の頃の1987年に、この世から退出なさったそうですが(このテクストを書き始めるまで)まるで知りませんでした。

で、このセゴビアさんが、クラギのナイロン弦を普及させるキッカケとなった方だそうですが…フッと疑問が生じました。

ギターの弦は、いつからナイロン弦が普及したのでしょう?

ナイロンは1930年代に、デュポン社でうつ病の研究者(後年自殺)が開発して、その後、女性用のストッキングとして商品化された…と、記憶しているのですが、サクッと調べてみたら、ギター製作者だったアルバート・オーガスチンさんが、ギタリストのアンドレス・セゴビアさんの助言のもと、ナイロン弦を完成させたのが1954年のことだったそうですから、まだ60年ほどしか経っていないのですね。

それ以前から使われていたガット弦は、温度や湿度の変化に影響され易い素材だと云うことは、知っているけど、バイオリンのガット弦は(スティールやナイロン弦と比べれば高価だけれども)いまでも普通に購入することが出来ます。
クラギのことを、未だにガットギターと言っても通用するのに、ガット弦(絹弦も)は、量販店で気軽に買える、身近なものではない、と云う現実が、ちょっと不思議に思えました。

もっとも、ガット弦とナイロン弦の音の違いを聴き分けるような耳は持ち合わせていないし、ギターを手にしてからずっとナイロン弦の存在しか知らなかったのですから、そこは ”こだわる” ところじゃないだろ?とは思いますが、家電製品のデジカメと、フィルムの写真機が(ポピュラーな意味で)共存できなかったように、ガット弦とナイロン弦も共存できなかったのかな…などと、結びつけて考えてしまいます。


IMG_5176.jpg


こちらの弦は、まだ張り替えたばかりなので、感じと云うか感触のようなものは、もう少し指で味わってから、自分の備忘録として、言葉にしておこうかと思っています。

ところで、ギターの練習をした後で、ウクレレの練習をすると、とにかく押弦が楽チン(に、思えてしまう)で、自分が上手くなったように思い違いをして、ちょっと難しい譜面に挑んで、毎回、返り討ちにあっています。

” こだわる ” べきは、機材ではなく、扱う側の方だな…と、3年前の夏に買ったまま放置状態だったギターを抱えてみて、つくづく ” 足りない自分 ” を思い知らされている次第です。



コンサートピッチ、テンション、リズム


IMG_5041.jpg


管楽器を吹き始めた頃に入手したKORGのOT-120です。
クリップチューナーの方が楽チンなので使わなくなっていたけど、最近はギターとウクレレに使っています。

弦楽器用のクリップチューナーは幾つか持っているけど、どれもこれもピッチの最低が436Hzからなのが難点でした。

…と云うのも、音は好きだけど、テンションが高くて指がキビシイ弦の時は、A=440Hzを、バロック音楽の415Hzや、古典楽器の430Hzで、試しているからです。

440では指が泣くけど、430だと頑張れそうで、415だと指が歓ぶ…そんな感じになります。

バンドやアンサンブルなどを組む場合は問題になるけど、天上天下唯我独奏の俺の場合、コンサートピッチにこだわる必要がないので、弦が、たるみ過ぎたり(415Hzの半音下げでは有り得ないけど)、あからさまに曲のイメージが崩れない限り、バロック・ピッチでハワイアンもOKです。


…なんだけど、でもコレって邪道?

小心者なので、念のためプロの演奏家に確認したところ、ピタゴラス音律とか平均律とか、なにやら小難しい話しを聞かされたけど、音を楽しむと書いて音楽と読むのだから、自分の好きにやった方が良い、と、この件に関しては免罪符をちょうだい出来たので、まぁ、色々と試してみようかと思っています。


IMG_5046.jpg


でもって、こちらは新兵器のイン・イヤー・メトロノーム。

イヤホンのように耳に装着するメトロノームです。
老舗ウイットナーの小型ネジ式を持っているのですが、チビ助のくせに、なかなかの音量でテンポを刻みます。
壁の薄いウサギ小屋暮らしなので、カチコチカチコチ鳴る音がうるさい…と、たまさか別件で不機嫌だった家族から苦情が出たので、早朝や夜間の利用を控えていたところ、これを見つけたので試してみることにしました。


これを装着して、エレキウクレレを使えば、時間帯に関係なく、メトロノームを使った練習が出来ます。


ミュートやブラッシングの練習には、メトロノームでテンポを確認しないと、手前勝手に鳴らしてしまう初心者だし、3連符や4連符などのリズムバリエーションも設定できるので、自分的にはスマッシュヒットな買物でした。


IMG_5045.jpg


ただ、血の通っていない電子音なので、それが気になることがあるのと、そのままだとクリック音が大きく、長時間だと耳がしんどくなるので、メディティングテープを貼って、弱音化させています。


ちなみに、この商品はシリーズで、ゴルフのスイング用とか、社交ダンス用とかも出ています。


音楽にかぎらず、人間の行動(生活)って、リズムが大切なのですね。



メキシコの小町娘 Martin S1


半年経ったマーチンS1のヘッドです…

楽器に詳しくない人でも耳にしたことがあるマーチンだと思うけど、そーゆー人が、このヘッドを見たら、これがマーチンだと云うことは判りませんね。

IMG_5035.jpg

犯人はサービス品だったコイツ…
挟む力が強すぎるのか、デカールの接着が弱いのか…まぁ、後者だろうなぁ。
メヒコ産だからねコレ。

IMG_5036.jpg


手に入れたばかりなので、今はテナーウクレレ・ブームなんだけど、ウクレレ開始から半年間で、一番触っているのが、このマーチンS1です。

机の下に置けるサイズなので、自宅作業で行き詰まると、すぐに手を伸ばしてポロポロ鳴らしています。
遠い愛より近くの情け…とでも言いますか、椅子から立ち上がって片道4歩の壁に掛けてある楽器よりも、座ったまま手にすることが出来るマーチンS1を鳴らす時間の方が多くなります。

国産T’sのピッチの正確さに驚いていたんだけど、このマーチンS1とダダリオEJ88Sとの組合せもピッチが(ほぼ)正確で、開放弦でキッチリ合わせておけば、12フレットまでは、悪くてもクリップチューナーの表示画面センターから棒2本分(10セント?)以内です。

半年前に購入する時は、マーチン・ウクレレの中で一番安価なモデルだし、メキシコ工場生産だし、そもそもソプラノだからピッチは狂いやすいし、でもマーチンだから…そんな感じでした。

実際、標準のフリクションペグでは、ピッチのズレが大きかったので、ギアペグに交換した効果が高いように思えています。

ペグ交換で、ピッチが(ほぼ)正確になると云うことは、基本設計は悪くない…と云うこともあるでしょうし、やっぱり老舗マーチンならではのツクリの上手さがあるのかもしれません。

もっとも、楽器の良さは、鳴りの良さですから、ピッチ云々は入門者目線の低レベルな感想ですけど。。。

IMG_4408_20170207020947e9a.jpg


ピッチの正確な楽器と鳴る楽器は別モノだし、鳴る楽器は、鳴らせる人でなければ鳴らない…と、昔々、プロのヴァイオリニストが話してくれたけど、ヴァイオリンには構造上フレット音痴は存在しないし、俺の場合、鳴るに越したことは無いけど、ピッチが(ほぼ)正確でズレ難いのは、ありがたいことです。

ダダリオEJ88Sは、張りっ放しで3ヶ月経ったけど、弾き始めにチューニングする必要がないほど安定しているし、テンションも弱く、押弦が楽チンなので、次回用に用意してあるブラック・ナイロン弦に張り替える気になりません。

弦がフレットに当たる部分は凸凹になっていますが、乳白色の弦なのでクリア弦のようにエグレが目立たないので、あきらかに音が怪しくなるまでは、使ってみようかと思っています。

硬い、明るい、柔らかい…


IMG_5027.jpg

貝殻テナーは、購入早々、クラギのハナバッハ黒に張り替えたけど、4弦の鳴り過ぎる感が強かったことから、ウクレレ専用の、ダダリオのEJ99TLGに替えてみました。

ダダリオのウクレレ弦シリーズの中では、一番明るい音色らしいけど、湿気を含んだ明るさ…とでも云うか、さわやか馬鹿ではなく、品の良い二枚目とでも云うか…難癖をつけるのが難しい弦で、音量もあるし、4弦が巻き弦でないため「キュッキュッ音」が出ないし、これを標準弦にしても良いと思い、すぐに予備弦を追加注文しました…が、ハナバッハよりも、テンション強めな感じが気になっていました。


ぼちぼち弦が安定してきたのですが、無い物ねだりの悪いクセで、予備弦として一緒に購入しておいた同じダダリオのEJ65Tも試したくなり、過日、張り替えてみました。

こちらは、ダダリオの中では中庸な音色で、ジェイク・シマブクロ御愛用と云うフレコミに惹かれたのですが…

いやはや、どーもにも音が硬い。

2日ほど経っても、やっぱり硬質な音色は変わらないし、テンションの強さもあって、このままだとテナーを弾くのが嫌になりそうなので、早々に張り替えることにしました。


IMG_5015.jpg


ところで、音が硬い…

と、感じたのは(今の自分にとっては)事実ですが、この比喩が正しいのか否かは、実のところ不安があります。
ブライト調とかメロウ調とかの音色とは別で…音の輪郭がハッキリしていて、量感もあって、音もテンションも、マッチョな感じがする弦でした。

ウクレレの場合、1弦の鳴りが弱くなりがちですが、この弦は1弦が太くテンションが高いので、音のバランスは、とても良いと感じました…まぁ、自分の場合、それ故の交換でもあるのですが、おそらく弾ける人が使えば、この弦の魅力を引き出すことが出来るのだと思っています。


IMG_5028.jpg

諸先輩方のブログを拝見すると「この楽器には、この弦が合う」…と云うテクストを目にすることがあるけんども、駄耳の自分には、楽器に合う弦と云うのが判りません。

自分が楽しくなれる音=好きな音だと思っているのですが、ギターでは、べらぼうに安価(1セット340円)な弦に張り替えると、その直後は「あぁ、やっぱり駄目だな安物は」と思うことがあるけど、弦が安定してくるうちに(耳が)馴染んでしまい「あの時は何が駄目だったんだろう?」…と云う状況に陥ります。

その要因は、音が見えてない(=弾けない)からだと、プロのヴァイオリン奏者に指摘されたことがあります。

でも、入門者の多くは、そーゆー人なわけで、楽器と弦の相性とか、そーゆーのって、すぐには見えてこないものですから…そーなると、何を基準に弦を選べば良いか?


自分の場合は「テンション」

物理的にテンションがキツイ弦だと、指が辛いだけで、根性皆無のヘタレな俺は、嫌になって続けられません。
なので、楽器や弦の個性よりも、とにかく押弦が楽チンか否か…が、取り敢えずは弦を選ぶ大切な基準のひとつになっています。

IMG_5019.jpg


さて、当初は、EJ99TLGに戻すつもりだったけど、ハナバッハの印象が薄らいでいることもあったので、保管しておいたハナバッハに戻したのですが、4弦の巻き弦が解れていたため、同じハナバッハ黄の8154SLTを張ってみました。


ハナバッハ黄は、スーパーローテンションなので、ハリがない分、音の輪郭がぼやけやすかったり、ピッチが甘くなるとも言われているようですが、オータサンが、4弦に、このハナバッハ黄を張っていた…みたいなことを目にしたことから、なんとなく注文しておいた弦です。

なるほど、風評通り、柔らかく甘い音色で、響き過ぎる(ように聴こえる)ハナバッハ黒よりも、それが緩和され、でもって、押弦が楽チン!


この4弦が駄目になるまでは、このセットで使ってみようかと思っている…けど、やっぱり4弦の「キュッキュ音」が気になる。。。


初体験


IMG_4979.jpg

生まれて初めてクラシックギターのリサイタルへ行ってきました。

お昼どきにクラシックの名曲からポピュラーソングまで、一流の演奏を手軽な料金で楽しめる…と云う謳い文句で、シリーズ化している(らしい)「浜離宮ランチタイムコンサート」と云う催しで、奏者は、昨年からCDで愛聴している、福田進一氏です。


ここ数年は、食事制限のある父親と、認知症の母親と同居しているため、仕事以外で、家を空けるのが難しいのですが、昨年、はじめて福田進一氏のCDを聴いてから、なんとか機会をこさえて、演奏を聴きたいと思っていたら、うまい具合に、お手頃な価格でのリサイタルが催されることを知り、この日のためにスケジュールを組み、なんとか足を運ぶことが出来ました。

クラシック・ギターのソロ・リサイタルも、福田進一氏も、浜離宮ホールも、なにもかもが初体験なので、この日の出来栄えが良かったのか否かの比較対象は何もありませんが…

  
とにかく素晴らしかったです。


ピアニシモは、雫が落ちた水面の波紋のように揺れ、フォルテッシモは強く押し寄せる波のように…
などと、陳腐な表現しか出来ない自分が恥ずかしいけんど、いや本当に、ギター一本で、会場全体の空気を、緩急自在に揺らしていました。

映画や小説のように、作り手の目指す道筋を追うのではなく、言葉が不在が故に、聴く側が、喜怒哀楽を自在に紡ぐことが出来る奥行きの深さと、それを時には優しく、時には強く誘う福田進一氏の発想力と演奏技術の素晴らしさに、ただただ酔い痴れるばかりでした。

特に、CDでは幾度も聴いていた、お気に入りのブエノスアイレスの冬、夏では、思わず、目が潤んでしまい…初体験で泣かされた俺でした。

IMG_4997.jpg

ライブへ足を運ぶと時々感じるのが、CDと(基本的に)同じ譜面で演奏された曲なんだけど、違う「音楽」だと云うことです(そうでないライブも間々あります)。

オーディオシステムや視聴環境による音質の問題だけではなく、欠損無しの、完全無欠な状態に加工するレコーディングや、口パクが通用するライブと違って、ミスタッチも含めて誤魔化しが通用しない分、良い演奏も、そうでない演奏も、全てをひっくるめて、とても刺激的だし、ある種の寛容さ(奏者も聴衆も)もあって、とても人間的で、まさに音楽とは音を楽しむと書くのだよ…って感じがします。

こうした素晴らしい演奏を聴くと、世界的に有名な毒舌系指揮者チェビちゃんこと、チェリビダッケ氏が、レコードは自慰行為でしかないと言い放ち、生涯、正式な録音を認めなかったと云う姿勢(黙認はした)にも頷けます。


ちなみにセットリストは…

マヌエル・ポンセ:ワルツ、エストレリータ、ルンバ、ソナタ第3番ニ短調
エイトル・ヴィラ=ロボス:ブラジル民謡組曲(マズルカ・ショーロ、ガボット・ショーロ)
アストル・ピアソラ:ブエノスアイレスの冬、ブエノスアイレスの春
アグスティン・バリオス:大聖堂、アレイ・デ・サンバ、郷愁のショーロ、ワルツ第4番、パラグアイ舞曲第1番

アンコールにはサッチモの、この素晴らしき世界。

11時半開演で、途中15分の休憩を挟んで、13時頃の終演でした。


IMG_4978.jpg

帰宅後は、火照った魂を鎮めるため、安価なギターを抱えたけど、音を音楽に昇華させるには、ほど遠いと云うか…次元の違う現実の自分に直面して、心が折れるわけですが、まぁ、少なくとも、音を楽しみたいと願う、魂の根っこは同じ…と思って、今日もポロンポロンとギターとウクレレを練習するのでした。


そうそう、それと、今回のリサイタルは平日の昼どきでしたから、高齢者が多かったです。
開演前、前席の年金トリオは「膝が痛い」とか「あら、◯◯さんは亡くなったわよ」などの会話で盛り上がっていて、メランコリックな曲になると、盛大に船を漕いでいたので、クラシックギターや、南米音楽に興味があったのではなく、主催(朝日新聞社)の関係筋だったりする人が多かったのかもしれません。

おそらく、俺は若い世代に入りそう…そんな客層だったことも、ここ最近は無かったことなので、ちょっとおもしろく感じつつも、若い人たちも聴きにくるような働きかけを業界が仕掛けないと駄目でしょ…とも思いました。


さて、来週も、福田氏の演奏を聴きに行く予定です。
こちらは、福田氏のソロ・リサイタルではなく、氏を含め、国内の有名な奏者が集ってのリサイタルなので、こっちも、めちゃくちゃ愉しみにしています。